読み物(ノンフィクション)の最近のブログ記事


についての、今回も続きです。

「ザ・クオンツ」で、登場人物の一人が、オンラインポーカーのヘッジファンドを作ろうと考えたエピソードがありました。結局はあきらめたそうですが。
本書ではオンラインポーカーを自動でプレイするプログラム(bot、ロボット)を作った人のエピソードが出てきます。
運営者側はロボットが使われることを規制しようとします。
実際はかなりのロボットが稼働しているのではないか?と心配させられるような話でした。

マルコフ連鎖モンテカルロ法の歴史とギャンブルへの応用についても書かれています。
前にRのMCMCpackをいじったときに遭遇した「メトロポリス」というのは人の名前だったのかと、本書で知り、自分が不勉強なことを恥じ入った次第です。

以上、駆け足ではありますが、本書で印象が強かったことを、頭に思い浮かぶままに書き連ねました。
本書は読み物としても面白く、さらに、実際に自分でモデルを作りたい人は、本書で紹介された論文を手掛かりに、関連する他の論文を探すことができるでしょう。また、既にこの方面に詳しい人でも、知識の整理に役立つと思います。

なお、著者は数学的モデリングが専門で、大学で教鞭をとっているとのこと。

【著者( Adam Kucharski )ご尊顔】

英国の王立研究所での講演

Googleでの講演

についての記事の続きです。

目次を見ただけだと、何について書かれているかわからないと思います。
主として下記事項について、科学と数学がどのようにして攻略法を見出したかが紹介されています。

  • 競馬
  • ルーレット
  • 宝くじ
  • スポーツベッティング
    • アメリカンフットボール
    • サッカー
    • バスケットボール
    • 野球
  • カードゲーム
    • ブラックジャック
    • ポーカー
  • ボードゲーム
    • チェス
    • バックギャモン
    • チェッカーズ
  • クイズ番組(Jeopardy!)
  • 暗号解読
  • じゃんけん
特に競馬については、香港シンジケートの生い立ちが書かれています。
(香港シンジケートについては、「天才数学者はこう賭ける」にも少し出てきます)

1986年の論文を書いたBoltonとChapmanが結婚していたことはこの本で初めて知りました。
また、競馬のデータをコンピュータで処理させるのにパンチカードを使用していたことも、この本で知りました。論文を読み返すと、競馬新聞のデータを「assemble and code」するのに1レースにつき1時間掛かったということが書かれていました。作業時の光景が目に浮かぶようです。
1980年代前半だと、パーソナルコンピュータはまだ非力だったため、大学の計算センターの大型コンピュータを使ったのではないでしょうか?
ちなみに、ベースとなった離散選択理論の論文がダニエル・マクファデン(2000年のノーベル経済学賞を受賞)によって発表されたのが1974年。
日本でも、1980年代前半は、(パーソナルコンピュータではなく)大学のメインフレーム上でFORTRANのプログラムを動かし、離散選択モデルのパラメータ推定の計算をさせていたという記事を読んだ記憶があります。

ルーレットの攻略については、エドワード・ソープやドイン・ファーマーのエピソードが有名で、本書以外の本で読んだ人も多いと思います。
本書では、さらに、2004年にイギリスのリッツホテルのカジノが攻略されたエピソードが紹介されています。
やりすぎて、警察に通報されたとのこと。やはりカモフラージュは大事です。
現地では有名な事件だったようです。
下記のように、BBCなどの報道機関が記事にしています。


昨年出版されると同時に購入して読んでいたのですが、遅ればせながら記事にすることにしました。
購入を決めたきっかけは、索引を見ると

  • Benter, Bill
  • Bolton, Ruth
  • Chapman, Randall
  • Faemer, Doyne
  • Kelly, John
  • Thop, Edward
という名前が出ていたのと、競馬について書かれているのがわかったからです。
また、著者の職業からして、おかしなことは書かれていないだろうことが期待できたからです。

ギャンブルについて、非常にマニアックな内容です。
競馬以外のギャンブルも取り上げています。

おそらく翻訳が出ないと思っていました。
今年の11月に翻訳が出ると知り、ちょっと驚きました。

アダム・クチャルスキー著 草思社 2017年11月20日出版予定


下記のような本を既に読んでいて、面白いと思った人は、本書も楽しめるのではないでしょうか?


目次

Introduction
Chapter 1: The Three Degrees of Ignorance
Chapter 2: A Brute Force Business
Chapter 3: From Los Alamos to Monte Carlo
Chapter 4: Pundits with PhDs
Chapter 5: Rise of the Robots
Chapter 6: Life Consists of Bluffing
Chapter 7: The Model Opponent
Chapter 8: Beyond Card Counting
Acknowledgments
Notes
Index


エドワード・ソープがシュワッガーの質問に答えていくのですが、ルーレット攻略法についても答えています。
「マネーゲームの予言者(プレディクターズ)たち―複雑系科学者、市場予測に挑む」に登場するクオンツも、学生時代にルーレット攻略をしようとした話を、その本だったか、他の本で読んだ記憶があります。
ソープがシャノンと開発した、ウェアラブル・コンピュータは以下のような仕様らしい。

  1. 「00」の数字が予め決めておいた目印となる位置を通過したタイミングを記憶
  2. 「00」の数字が予め決めておいた目印となる位置を2回目に通過したタイミングを記憶
  3. 投げ入れた珠が、「00」と交差したタイミングを記憶
  4. 投げ入れた珠が、「00」と2回目に交差したタイミングを記憶
  5. 計算の結果、40%以上のエッジをもたらすような、賭けるべきゾーンを予測
これって、その昔、パチンコの体感機プロがヘソチャッカーに入賞したタイミングを体感機に入力していたことを思い出しました(笑)

日本でも、沖縄やお台場にカジノを作ろうという話をたまに聞きます。
実施されたら、かつての体感機メーカーがルーレット攻略機を作り出すかもしれませんね。

大昔、工学社から出たばかりの「ディーラーをやっつけろ!」の終わり近くで、ソープが、ブラックジャック以外にも、ルーレットやマーケットの攻略法を発見したという意味のことを書いていました。
その当時は、(ブラックジャックはともかく、ルーレットやマーケットの攻略法とは?)と狐につままれたような気分がしました。
ブラックジャックは、ゲームの進行に従って、各カードを引く確率が変化するし、それはカウントすることで、子に有利な状況を知ることができます。
(1組のカードを使う場合、Aが4枚出たら、残りのカードからAを引くことはありません)

ルーレットは、各数字に球が落ちる確率は、ゲームの進行に従って変化しません。
(赤が連続して10回出ても、次に赤が出る確率は変化しません)

やがて、マーケットの攻略法とは裁定取引(株式とワラント、あるいは統計的裁定取引など)と知ることができてきたのですが、ルーレットの攻略法というのが長年の謎でした。
それが、「天才数学者はこう賭ける」と本書のお陰でようやく謎を解くことができたのでした。

ジャック・シュワッガーの「マーケットの魔術師」シリーズの新作。
近年のヘッジファンド・ランキングで上位に名前が上がる人たちも登場するが、目玉はエドワード・ソープへのインタビュー。


他のヘッジファンド・マネージャーへのインタビューに比べ、倍近いページが割り当てられています。
  • ブラックジャック
  • ルーレット
  • バカラ
  • 幸運の輪
といったカジノ攻略の話から
  • トレンドフォロー
  • ケリーシステム
  • 客観的な確率が不明な場合のケリーシステムの適用
など、「天才数学者はこう賭ける」「クオンツ」などでも取り上げられた話題もありますが、シュワッガーが、更に突っ込んでインタビューしています。

他の「マーケットの魔術師」シリーズと同様に、早ければ年内にもパンローリング社から翻訳本が出ると思われます。

ケリーシステムについては、少し前にケリーシステムに関する論文を集めた本がでましたが、それより読みやすいので、興味のある人にはお勧めです。

ナシーム・ニコラス・タレブの「ブラック・スワン」がいよいよ6月19日発売に!
前作「まぐれ」の訳者あとがきの中で、「ブラック・スワン」翻訳中である旨が告知されていたが、出版に漕ぎ着けるまでに1年半かかったことになる。
著者のタレブは、「まぐれ」の中でシステムトレーダーを揶揄するようなことも書いていたが(トレードステーションにはまっている友人のこと)、まじめにトレードに取り組む意欲がある人には必読図書だと思う。

題名:ブラック・スワン-不確実性とリスクの本質 (上)(下)
原題:The Black Swan: The Impact of the Highly Improbable
著者:ナシーム・ニコラス・タレブ
出版社:ダイヤモンド社
発売日:2009年6月発売
価格:各1890円 (税込) 

「ディーラーをやっつけろ!」の著者エド・ソープについて詳細に書かれた本。

「ケリーの公式」のケリー、情報理論の父シャノン、香港競馬シンジケートなどについても書かれている。 学問の世界と相場の世界、ギャンブルの世界との関わりが興味深い。

 

プロローグ 電信サービス

1 エントロピー
クロード・シャノン
プロジェクトⅩ
エマニュエル・キンメル
エドワード・ソープ
おもちゃ部屋
ルーレット
賭博師の破滅
無作為、無秩序、不確定
時流
ジョン・ケリー二世
私設電信
マイナス符号

2 ブラック・ジャック
真珠のネックレス
リーノー
運命の輪
一八ドルの娼婦より厄介
ケリーの基準の正体
ラスヴェガス
史上初の必勝法
二枚目引きのドッティ
二人乗り自転車

3 裁定取引(アービトラージ)
ポール・サミュエルソン
ランダムウォーク・マフィア
今は買い時ではない
IPO
信じる度合いを賭ける
相場に勝つ
ジェームズ・リーガン
リゾーツ・インターナショナル
マイケル・ミルケン
ロバート・C・マートン
人間対機械
運用管理者が役に立たない理由
敵対者リスト
寡婦と孤児

4 サンクトペテルブルグの賭け
ダニエル・ベルヌーイ
さいころを避けよとの自然からの警告
ヘンリー・ラタネー
マーコウィッツの難点
シャノンの魔物
確執
ピンボール機械
自由の国
ケリー家に負けないように
長い年月をかけようとも
すべてのギャンブルは似たようなもの
外れ続けの予想屋
異星人のいとこ

5 RICO法
アイヴァン・ベスキー
ルドルフ・ジュリアーニ
マシンガンを射ちまくって
駐車場
汚い世界へようこそ
最後通告
プリンストン=ニューポート・パートナーズ、一九六九~八八年
ターミネーター
ウォールストリートで卑劣でないのはおまえだけだ

6 破裂
マーチンゲール人
怒号と悲鳴
こいつは感じが悪い
泥棒の世界
太いしっぽとフランケンシュタイン
生き残ろうとする意欲
永遠の幸運
人生の情緒豊かな経験

7 シグナルとノイズ
シャノンのポートフォリオ
がめついオランウータン
指標プロジェクト
香港シンジケート
無限大には裏がある

謝辞
訳者あとがき
参考文献
原注

 

題名:天才数学者はこう賭ける―誰も語らなかった株とギャンブルの話
原題:Fortune's Formula
The Untold Story of the Scientific Betting System That Beat the Casinos and Wall Street
著者:ウィリアム・パウンドストーン
出版日:2006年11月
価格:2520 円(税込)

日本語訳の出版が延び延びになっていた "The Complete TurtleTrader: The Legend, the Lessons, the Results " がようやく出版に漕ぎつけそう。

目次

第1章 生まれか? 育ちか?
第2章 立会場の貴公子
第3章 実験開始
第4章 哲学
第5章 ルール
第6章 タートル誕生
第7章 不公平な資金配分
第8章 ゲームオーバー
第9章 独り立ち
第10章 デニス、ゲームに復帰する
第11章 チャンスをつかんだ男
第12章 「負け組」のタートル
第13章 タートル第二世代
第14章 偉大なるお手本

米国では、2009年2月24日にペーパーバック版も出るので、それに合わせてハードカバー版から内容がアップデートされている可能性もあります。

※行方不明だった元タートルズの消息など。

ペーパーバック版はハードカバー版と副題が異なりますね・・・

原題:The Complete TurtleTrader: How 23 Novice Investors Became Overnight Millionaires
著者:マイケル・コベル
出版社:日経BP社
発行日:2009年2月16日
価格:2310円(税込)

以下の点について、書かれていることが素晴らしい。

  • 最初の年のタートルの講義は2週間、翌年は1週間だったこと
  • 新聞広告で募集した以外の、他のグループにもタートルの手法を講義していたこと
  • タートルとして選ばれたメンバーのうち、4人が独自に与えられた手法の検証をしていたこと
  • その検証の結果、深刻な問題点を発見したこと
  • ラッセル・サンズの破門について
  • カーティス・フェイスが自著に書いていることについて
  • デニスの元を離れてからのタートルの後日談
  • 第2世代のタートル

 

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