2012年1月アーカイブ

国会図書館のシステム障害の件ですが、ようやく新聞社系のニュースサイトで報道されました。
msn産経ニュースですが、最初に報道されてから、1時間後くらいに内容が変わっていることに気が付きましたので、最初の記事と2番目の記事と両方載せておきます。

(最初の記事の引用)
蔵書貸し出しなど手作業 国会図書館でシステムトラブル 
2012.1.16 15:11
国立国会図書館で16日、利用者の入館状況や、蔵書を管理するコンピューターシステムにトラブルが発生、書籍の貸し出しを手作業で行うなど業務に一部支障が出た。今 年に入り、新システムに切り替えたための不具合とみられ、同館で原因を調べている。 

システムは6日に導入。翌開館日の7日にも同様のトラブルがあり、これで2度目となる。 

同館によると、16日は本の貸し出しを行うシステムが一部ダウン。利用者は通常、館内に設置されたパソコン端末で本を検索し、貸し出しを申請するが、この日は読みたい本のタイトルを紙に書き、職員に手渡すなどして対応したという。 
新システムは、利用者の入退館状況をより具体的に管理するため、カードの発行手続きを一部改変。昨年から導入を検討し、6日に導入したばかり。 
(引用終わり)

(2番目の記事の引用)
今年3度目...国会図書館でシステムトラブル 蔵書貸し出しなど手作業で対応
2012.1.16 15:11
立国会図書館で16日、利用者の入館状況や、蔵書を管理するコンピューターシステムにトラブルが発生、書籍の貸し出しを手作業で行うなど業務に支障が出た。今年に入り、新システムに切り替えたための不具合とみられ、同館で原因を調べている。
新システムは6日に導入。7日、14日にも同種のトラブルがあり、これで3度目となる。
同館によると、16日は本の貸し出しを行うシステムが一部ダウン。利用者は通常、館内に設置されたパソコン端末で本を検索し、貸し出しを申請するが、この日は読みたい本のタイトルを紙に書き、職員に手渡すなどして対応したという。

 新システムは利用者の入退館状況をより具体的に管理するため、カードの発行手続きなどを一部改変。昨年から準備を進め、6日に導入したばかり。

 7日には本の貸し出しや検索に関する記録(ログ)が肥大化、サーバーに負荷がかかり検索機能が一時利用できなくなった。14日にはサーバーの通信を管理するシステムに原因不明の障害が起き、午後3時10分以降、利用者の入館を停止するなどトラブルが続いていた。
(引用終わり)

ただし、報道には少し事実と違う点が見受けられます。
システム障害が解決したら、国会図書館を利用しようと、1月6日からずっとツイッターをウォッチしてきた経験からすると、システムダウンの回数は2回とか3回ではなく、新システムに入れ替えてから毎日です。

参考までに、ツイッター検索での、「国会図書館 システム -内部 -rt」へリンクを貼っておきます。
※「内部」を除いたのは、1月13日に日経BPネットに出た「国会図書館が公開した新検索システム、その内部に迫る?」という記事に関するつぶやきを検索対象から外すためです(その後、日経グループの他のサイトにも同記事が転載されました)。
実際に国会図書館に行きシステム障害に遭遇した人と、自宅などから検索システムだけ利用した人では、感想が分かれます。検索システムはあくまでも国会図書館のシステムの一部ですので、その点に注意して現状がどうだったか読み取っていただきたいと思います(現状がどうだったかの情報源が他にないため)。

項番処理以前のシステム新システムで発生した主なトラブル、不便な点
1利用者の個人情報入力入館証発行機手書き
2入館証発行入館証発行機手渡し
3入館入館ゲート
4端末ログイン端末付属のカードリーダーログイン出来ない。時間がかかる
5蔵書検索端末画面遷移に時間がかかる。NDL-OPACに遷移しない
6貸出申込端末手書きで申込み
7端末ログアウト端末付属のカードリーダー正常にログアウトできない
8申込んだ資料(単行本、雑誌)が貸出カウンターに来ているかの確認 電光掲示板電光掲示板の廃止。端末で確認。情報がプッシュされないので、画面をリロードする必要あり
9資料の受取貸出カウンタの係員
10端末ログイン端末付属のカードリーダーログイン出来ない。時間がかかる
11複写申込票印刷プリンタと繋がった端末手書き
12端末ログアウト端末付属のカードリーダー
13複写申込複写カウンタの係員
14コピーができているかの確認 電光掲示板今までの電光掲示板がなくなり、臨時?のチョットわかりにくい表示方式になった
15コピーの受取複写カウンタの係員
16単行本(雑誌)の返却貸出カウンタの係員
17退館退館用ゲート

前に書いた記事と重複しますが、前年までのシステムでは上記のような処理があり、いずれの部分でもスムーズに機能していました。
その処理を新システムに置き換えようとしたはずなのですが、その置き換えようとしたほとんどの部分でトラブルが起きています。 結果として、本を借り、必要な部分をコピーするのに、以前より大幅に時間がかかるようになってしまいました。
利用者だけでなく、国会図書館スタッフもシステムに依存していると思われま。システムが正常稼動していればしなくてもいいような仕事(利用者からのクレーム対応、端末の異常な動作についての利用者へのヘルプなど)が増えて、見るからに大変そうでした。

産経の取材を受けたせいか、ようやく国会図書館からもシステム障害についてアナウンスされました。
これで問題が解決していればいいのですが・・・。
今後も同じようなシステム障害が発生した場合には、利用者が少しでも事前に確認できるように、速やかに図書館ウェッブサイトのトップに載せて欲しいと思いました。

(引用)
サービス提供状況

NDL-OPAC復旧のお知らせ(1月16日19時30分現在)
NDL-OPACは復旧しました。本日は、ご迷惑をおかけいたしました。

本日の東京本館および関西館のサービスについてのお知らせ(1月16日14時45分現在)
1月16日午前中に、東京本館および関西館のサービスシステムに障害が発生したため、館内でのサービスはシステムを使用しない方法になっております。現在、入館、資料の請求・閲覧、複写サービス、利用者登録等のサービスをご利用いただけますが、入館や資料の出納に時間がかかる場合があります。

利用者の皆様にはご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いいたします。

NDL-OPAC一部復旧(インターネットサービス)のお知らせ(1月16日 13時30分現在)
NDL-OPACは、インターネットでは利用できます。国立国会図書館内では、引き続き、利用できません。ご迷惑をおかけいたします。

NDL-OPAC障害発生のお知らせ(1月16日 11時30分現在)
NDL-OPACに障害が起きており、ただいま使用できません。現在、原因を調査中です。

なお、国立国会図書館サーチは利用可能ですので、当館蔵書の検索についてはこちらをご利用ください。ただし、国立国会図書館サーチの検索結果からNDL-OPACへの遷移はできません。

復旧までしばらくお待ちください。ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いいたします。

(引用終わり)


デジタル社会はなぜ生きにくいか(岩波新書)
徳田雄洋著
(目次)
序 章
一九八四年の日本とアメリカ  
第1章 デジタル化した世界  
1 デジタルテレビ
2 デジタルカメラ
3 携帯電話

第2章 情報機器との格闘  
1 銀行にて
2 鉄道の駅にて
3 空港にて
4 システムトラブル
5 情報の流出と喪失
 
第3章 情報洪水の中で  
1 電子メール
2 ウェブ
3 検索サイト
4 インターネット
5 パソコン

第4章 困難は作られる  
1 送り手が作り出す困難
2 デジタル社会の人間たち
3 変わる社会 
 
第5章 デジタル社会を生き抜く  
1 なぜこうなったのか
2 避けるべき未来
3 生きるための心構え

おわりに


「システムはなぜダウンするのか」
価格 2,520円(税込み)
ISBN 978-4-8222-8381-0
発行元 日経BP社
発行日 2009/01/26

1月6日(金)、国会図書館に行きました。
普段から調べ物をするのに、よく利用していました。
今年から新システム導入とのことでしたが、ヒドイ状態で、「システム障害」と言えるレベルのものでした。
国会図書館のシステムでは、入館・蔵書検索・貸出申し込み、本の受け取り・複写申し込みなどの手続きで、入館証が必要になります(その都度、カードリーダーで、利用者情報を読み込む)。

旧システムでは

  1. 入り口で、入館証発行機に個人情報をスタイラスペンを使って、入力。当日利用の入館証を発行
  2. 入館証を使って、入館ゲートを通過
  3. 館内に多数設置されている端末のカードリーダーに入館証をセット。認証する
  4. この端末で、本を検索し、同じ端末から貸出の申込み
  5. 館内に、貸出の準備が出来たことを知らせる電光ボードがあるので、そこに自分の入館証の番号が表示されたら、本を受け取りに行く。係員が入館証の情報を読取装置で読み込む
  6. コピーしたい場合は、複写申込用の端末を利用。申込用紙を印刷。コピーするページ番号を記入して、複写カウンターに持って行く。
  7. 係員が、ページや用紙サイズを確認して、受付。係員が入館証の情報を読取装置で読み込む。
  8. 館内に、コピーが出来たことを知らせる電光ボードがあるので、そこに自分の入館証の番号が表示されたら、コピーと本を受け取りに行く
  9. 利用が終わった本を返却カウンターに持っていく
  10. 係員が本を受け取り、入館証の情報を読取装置で読み込む
ざっと以上のような手順でした。ログイン認証はスムーズで、ストレスを感じませんでした。
今日体験した範囲では、

  1. 入館証の自動発行ができない。申込み用紙に手書き。この用紙と入館証を交換
  2. 端末のカードリーダーに入館証をセットしてから、ログインまでに時間がかかりすぎる
  3. ひどい場合には、30秒以上経過しても、次の画面に遷移しない
  4. (これは慣れてないだけかもしれないが)本の貸出申し込みをするまでに、メニューがわかりにくい。画面遷移に時間がかかる
  5. (これはバカバカしすぎる設計だと思うのですが)電光ボードを廃止してしまったため、本の貸出準備が出来たか知るには、端末にログインして、端末で確認しなくてはいけない。しかも、画面は貸出準備ができても自動的に切り替わらないので、F5キーを押すなどして、再読み込みしなくてはいけない(DoS攻撃???)
  6. コピーを頼む場合も、別端末に再度ログインしなくてはいけないため、また認証までに時間がかかる。
  7. コピーの受付終了時間ギリギリだと、間に合わない場合がありそうだ
  8. 端末にログインできない場合があった。前にログインしていた端末が、ログアウトしたことになっていなかったからとのこと。
  9. カードリーダーからカードを抜き取るとき、一時離席か、ログアウトか確認画面が出る仕様になっているのだが、この画面自体の表示に時間がかかりすぎ、気が付かず席を離れるケースがあった
今回の新システムでは、デジタル化した蔵書を端末で閲覧できることなどが目玉なそうです。
しかし、1日に何度も書籍、新聞雑誌資料の貸出や複写の申込みをし、その合間に閲覧、、電子ジャーナルの利用、食堂や喫茶店の利用をする者にとっては、何とも不便なシステムになったと言わざるをえませんでした。
同じ感想を持った人は他にもいるようで、Twitter検索で、「国会図書館 システム」で検索すると、実際に利用した人の感想を見ることができます。
機能を豊富にしたのはいいのですが、その反面、今まで出来ていたことが出来なくなっています。

明日以降、事態が改善されていることを望んでやみません。


システムはなぜダウンするのか

第1章 システムが止まった...
   ――「ダウン」とは何か
1.1 停止=ダウンは誤解
1.2 ダウンは原因から4種類に分けられる

第2章 きちんとテストしたはずなのに...
   ――アプリケーション・ソフトの不具合
2.1 突然に目を覚ます20世紀のバグ
2.2 忘れたころにやってくる「日付問題」
2.3 データベースのデッドロックが連発

COLUMN こちらシステム・ダウン相談所
    システム・ダウンが「3K」の一因?

第3章 アプリケーションだけではない...
   ――OS、ミドルウエアの不具合
3.1 停止を検知できない
3.2 組み合わせを変えたら動かない
3.3 メモリーをつかんだまま解放しない

第4章 アクセス殺到に耐え切れず...
   ――性能・容量不足
4.1 ハードウエアの性能を生かしきれない
4.2 メモリー、CPUが足りない
4.3 通信データの増加がダウンをまねく
4.4 データベースが満杯に
4.5 夜が明けてもバッチ処理が終わらない

COLUMN こちらシステム・ダウン相談所
    運用担当者は叱られ役?

第5章 気づかなかったは許されない...
   ――環境設定・変更ミス
5.1 つい見逃すパラメータ変更
5.2 システム環境の変更ミス
5.3 パッチ・ファイルの適用忘れ
5.4 カレンダーの設定ミス

第6章 その「うっかり」が致命傷...
   ――運用・操作ミス
6.1 運用コマンドを間違える
6.2 データの移行・入力ミス
6.3 待機系への切り替えに失敗
6.4 混乱が「2次災害」を生み被害拡大

第7章 まさか、こんなことが起こるとは...
   ――ハード故障、不慮の事故
7.1 サーバーが壊れた
7.2 通信ネットワークが不通に
7.3 コンピュータ、電気なければただの箱
7.4 震災でデータセンターが破壊・焼失

COLUMN こちらシステム・ダウン相談所
    ダウンが減りすぎて困る?

第8章 障害対応は時間との闘い...
   ――ダウンに学ぶ
8.1 原因究明よりも復旧を優先

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